新規な技術(発明)を独占するには、特許庁に申請して、特許を取得しなければなりません。実用新案、意匠及び商標についても、保護の対象は異なりますが、手続としては発明の場合と同じです。弁理士は、それらの手続を代理し、権利化後では侵害訴訟の輔佐人になります。

特許権は、自然法則を利用した技術思想の創作のうち高度のもの(発明)の実施(製造、使用、販売など)を独占する権利です。そして、特許に値する発明は、技術(非常に広い意味で、人為的な約束事を除く意味とお考えください。)に関する新しい思いつき(装置、方法、材料)であり、その技術分野の平均的な人が容易には思いつかない程度に優れているもの。


特許になるための3大条件:

産業上の利用性 役に立つこと
新規性 世界で始めてであること
進歩性 知られた技術に対して、ある程度以上の工夫が為されていること


特許出願の主な作用

(1)

特許を取得する可能性を手に入れる。

 

(2)

同じ内容であれば、最先の出願のみが特許になる(先願主義:特許法第36条)ので、同じ発明内容のより遅い特許出願を、拒絶にでき、仮に特許になっても無効にできる。

 

(3)

遅い出願日の特許出願は、先に出願された特許願の明細書等に記載された内容(ただし、出願公開されていること)と同じ場合、特許を得られない(特許法29条の2)。すなわち、とりあえず特許出願すれば、公開されることを条件に、その明細書等に記載された内容について、次の日以降の他社の特許出願で特許を取得されることは無くなります。

 

(4)

 原則、出願日から1年6ヶ月経過すると、公開公報として公開されます。この公開後に出願された特許出願は、公開公報に記載された内容であるか、これから容易に思いつく程度の内容である場合、何人も特許を得られない(特許法29条第1項、第2項)

 


特許の主な作用
 特許発明の実施(製造、使用、譲渡、送信等)を独占できる(特許法第68条、第100条)。
 但し、勘違いされているところですが、特許を持っているからといって、他社の特許権を排除できません(特許は槍であり、盾にはなりません)。
 特許は、牧場の囲い込みに似ています。独占したい自分の発明の範囲を柵で囲い込みます。そうすると、他社は、柵内で自由に事業を行うことができなくなります。
 しかし、誰であろうと自由に、他人の柵内に、新たな柵で囲い込んだ範囲を作ることができます。新たな柵で囲い込まれた範囲は、新たな柵を作った人も、元の柵を作った人も実施できなくなります。クロスライセンスして両者が実施するか、両者が共に諦めるかのどちらかです。

 特許は、専ら、物を製造するメーカとそれを販売又は利用する会社だけのものと考えられてきましたが、近年では、コンピュータソフトウエア業界はいうに及ばす、銀行・証券業界でも避けては通れなくなっています。コンピュータプログラムも、コンピュータ利用技術に関する発明として、上述の特許要件を満たせば、特許を取得することが可能です(コンピュータに限定されるところが難点ですが)。
 この機会に、特許の有効活用をお考えください。自己の技術を他企業から守る方法、他社の事業活動をおおぴら大っぴらに妨害できる方法は、特許しかありませんので、特に、若い企業の経営者及び、新規に会社を事業を興そうと考えている方は、是非とも、特許の利用法を勉強してください。