発明者へのアドバイス


・解決すべき課題や、新規な解決手段を思いついたら。


(1)製品化された場合の構成で基本的に必要な機能と、あれば有益な機能を段階的にイメージする。
(2)そのような基本機能を持った構成が、全体として新規かどうかを先行文献(特許公開公報、技術論文等)で調べる。
(2の1)当初、想定した利用分野で新規性が無い場合(ほとんど同じ構成が先行文献で開示されている場合)、個々の基本機能をより限定した構成や、更に機能を追加した構成を検討する。単なる設計変更や調整を超えた効果上の相違をも主張できれば、進歩性が認められ、特許になる可能性がある。
(2の2)当初、想定した利用分野で新規性、進歩性が共に無いと思われる場合、そのような基本機能を持った製品で達成できる効果が有用と思われる別の用途を検討する。発明の特徴的な作用は、用途により長所にも短所にもなる点に注意。
 そのような用途において、個々の基本機能について変更可能な態様(自社で実施するケースと、他社に実施させたくないケース)を可能な限り考える。

・自社にとって邪魔な他社技術を公開公報等で発見したら。


 他社技術の公開公報に開示される実施例では不足な機能を探索し、そのような機能を有する発明を特許出願する。公開公報は、1年6ヶ月以上の古い技術であることに注意する。
 このような特許の取得により、他社技術に先回りして、他社技術の当該他社による自由な利用を邪魔できる。場合によっては、クロスライセンスにより、他社技術の実施が可能になる。


 何れにしても、着想の段階に留まらず、いま一歩も二歩も、解決手段の構成と動作を分析的に深く考えることが必要です。そのような努力の成果として、新規で有用な発明を提示した者に特許という果実が与えられるのです。